自転車の乗り方 † 
ペダリングの基本 † 
- 前提
サドルの高さや前後位置など、乗車ポジションがある程度固まっていること
本稿はビンディングペダルではなく、フラットペダル、平地のケースを想定している
- ペダルと足の位置
母指球をペダルの軸に合わせ、ずれたりしない程度に載せておくだけで良い
- 脚の筋肉について
大まかに、ふくらはぎと太ももにわけて考えると理解しやすい
ふくらはぎには短距離走のための筋肉があり、太ももは主に長距離走のための筋肉で構成されている
長時間のサイクリングを達成するためには、ふくらはぎを使い過ぎないことが重要になってくる
つまり、ふくらはぎを使い過ぎない、太ももを主体としたペダリングが原則になる
- 脚の下り
ペダルを回転させるための最も基本的な力は、脚の重さ(とその高さによるエネルギー)である
一番軽いギアに設定した自転車を右側から見て、12時の方向にペダルをセットし、そこに足を載せる
すると自然にペダルは回転を始め、6時の位置まで下がることだろう
これで、ふくらはぎに力をかけずにペダルを回すということの半分が達成されたことになる
- 脚の上り(引き足)
前項で6時の位置まで下がり切った足は、自分で持ち上げなければならない
ここで太ももの筋力を使い、6時の位置まで下がった足を12時の位置まで引き上げる
太ももを開放すれば、前項の通り脚の下りが起こり、ペダルはさらに半回転する
- 脚の上下運動
客観的に見れば脚は上下に動いているが、前述の通り太ももの筋肉を使うのは足を持ち上げる時だけである
ロードバイクであれば、このまま変速していくだけで30km/h近い速度に達するだろう
これ以上の速度が必要になった時に初めて、脚の下りのフェーズで太ももの筋肉を使うことになる
その場合、1時から3時に降りていく足に力を上乗せするイメージで太ももから力を入力していくと良い
それでも長距離走のためには、必要のない限りふくらはぎは足を支えるだけに専念させておくべきである
- 膝について
ペダリングに際して膝が左右にブレていると膝の周りの腱を痛めてしまう原因になる
務めて膝をまっすぐ動かすように意識しておくことも必要
膝の前か後ろが痛くなる場合は、サドルの前後位置を調整すると治る可能性が高い
効率の良いペダリング † 
- 脚の上下運動と左右のバランス
太もものの上下によるペダリングは、機械としてみれば脚の上下運動をペダルの回転運動に変換するための
機構(ピストンク・ランク機構)と言える
しかし、脚の上下運動は完全ではなく自転車を右側から見たときであれば1時から4時ぐらいの間が、最も力がかかる領域になる
それ以外の領域は、回すための力がかかっていないどころか反対側の足が乗っているので負担になっている事もある
効率の良いペダリングのためには、足がお互いに足を引っ張らないようにを上下させることも重要である
ペダリング参考 † 
変速の基本 † 
- 変速機構について
ギアを切り替えるための装置で、変速レバー、変速機、および複数のギアで構成される
前のギアは、ロードバイクなら大きいギアと小さいギアの2枚が主流で左側のレバーで切り替える
前のギアは、大きい方が重いギアでアウターギア、小さい方が軽いギアでインナーギアと呼ばれる
後ろのギアは、最新のモデルなら11速が主流で右側のレバーで切り替える
後ろのギアは、カセットスプロケットを呼ばれ、大きい方が軽いギアでローギア、小さい方が重いギアでトップギアと呼ばれる
前が2枚、後ろが11枚であれば22段変速と呼ばれる
- 変速レバーの操作(shimanoのSTIレバー)
右側、後ろのギアは、内側の小さいレバーを内側に押し込むと重いギアに、外側の大きいレバーを内側に倒すと軽いギアに変わる
左側、前のギアは、内側の小さいレバーを内側に押し込むと軽いギアに、外側の大きいレバーを内側に倒すと重いギアに変わる
変速は、ペダル(チェーン)に負荷がかかった状態では行わないこと
変速するときは、一瞬足の力をぬいて、その間にシフトレバーを操作すると良い
左側のレバーを操作するときは、変速が完了するまで気持ち長めに待つと良い
時々変速した時の音が違うのは、気にしなくて良い
- ギアの役割
ペダリングの基礎で説明したように、ペダルに入力できる基本的なエネルギーの量は一定である
初期の自転車のようにギアを介さずペダルと車輪を直結した場合、車輪が大きければ最高速度に達するまでに時間がかかり、車輪を小さくすると最高速度に達する時間は短くなるものの、最高速度が低くなってしまう
その後、現代の自転車と同様にチェーンとギアを介して後輪を回す仕組みが発明され、加速と最高速度のバランスをとりつつより安全に運転できるようになった
しかし、ギアを搭載した現代の自転車であっても、シティ車としてよく知られる単一のギアしかもたない(変速機がついていない)自転車は加速に時間がかかり、坂道を上るのに苦労する
そこで、シティ車には3段変速等、変速機がついたモデルがラインナップされており、軽いギアを使えば軽い力で加速したり、坂道を楽に登ったりできる
ロードバイクは、速く走るための自転車であるため無駄なく速度を上げたり、速度を落とさないために多段ギアが採用されている
- ギア比と回転
ペダルと車輪を繋ぐギアの大きさが変わる(歯数が変わる)ということは、ギア比が変わるということである
ギア比が変わると、ペダルを一回転した時のギアが回転する量が変わり、タイヤが回転する量、すなわち自転車が進む距離が変わる
軽いギアでペダルを一回転させた時より、重いギアを一回転させた時の方が同じ力でも遠くまで移動することができる
それならば、最初から重いギアにしておけば良さそうなものであるが、前項で上げたシティ車のように実際にはそうではない
軽いギアから徐々にギアを重くしていった場合は、重いギアでも最初から一定の力でペダルを回転させることができるが、重いギアで車輪が止まった状態からペダルを回転させるには、強い力が必要になる
- 軽いギアと重いギア
物理的な詳しい話はわからないので、以下は実感として理解している内容
重いギアで車輪が止まった状態と、軽いギアから徐々にギアを重くした行った場合との違いは、すでに車輪が回転している点である
軽いギアでペダルを回し始めると自転車が前進を始め、ペダリングを止めても一定時間前に進もうとする
車輪は、ペダルの回転から前に進もうとするエネルギーを獲得していると考えられる
既に車輪が回転している自転車は、ペダルを回転させなければ徐々に減速していってしまう
しかし、重いギアに切り替えれば、最初と同じ力であってもペダルを回転させることで、一定の速度を維持することができる
- リア側、シフトアップ(重いギアへの切り替え)のタイミング
オートバイや自動車のマニュアルミッションをイメージすると理解しやすい
ペダルを毎分90回転(90rpm)ぐらい回すと車輪の回転速度がペダル(ギア)の回転速度より速くなってしまい、空回りするようになる
そうなったら、ひとつ重いギアに切り替えれば良い
ギアを一段重くするとペダルの回転数は落ちるが、またしばらくすると足が空回りし始めるのでギアをひとつ重くする
これを繰り返すと、だいたい30km/h程度でペダルの回転数が上がらなくなる(60~70rpmぐらいで止まる)
- シフトダウンのタイミング
曲がるとき、坂が見えた時、信号が変わりそうな時など、速度が落ちるのが予見された時にギアを軽くしておくと良い
基本的には停車中にギアを切り替えることはできないので、事前に変速しておくこと
- インナーとアウターの切り替え
前側のギアはインナー(軽い方)にしたままでも、だいたい30km/hぐらいまでは賄える
一時停止や坂道が多いコースであればインナーのままでもあまり問題にはならない
30km/h以上出せそうなコースであれば、どこかでアウターに切り替えることになる
インナーからアウターに切り替える場合は、後ろ側のギアをふたつぐらい軽くすると丁度いいギアが来る
変速その他 † 
- 空回りの仕組み
ペダルをある程度の速度で前方向に回した時は車輪が回るのに、ペダルを止めたり逆回転させると空転する
これは後輪の車軸にフリーホイールという機構が組み込まれているためである
競輪などで使われるトラックレーサーは、フリーホイールがないためペダルを逆回転させると車輪も逆回転し、固定ギアと呼ばれる
固定ギアに対して、フリーホイールを採用した自転車はフリーギアと呼ばれる
- 用語
前のギア:フロントギア、チェーンリング
前のギア、大きい(重い)方:アウターリング
前のギア、小さい(軽い)方:インナーリング
変速機:ディレイラー
前の変速機:フロントディレイラー
後ろの変速機:リアディレイラー
変速レバー:シフター
後ろのギア:カセットスプロケット
後ろのギア、一番大きい(軽い)方:ローギア
後ろのギア、一番小さい(重い)方:トップギア
重いギアへの切り替え:シフトアップ
軽いギアへの切り替え:シフトダウン
変速参考 † 